2004/02-a




2004/02/15  三寒四温


わたしは口笛がふけない


風が、ぴゅうぴゅうと鳴いている
家のなかにいても、風たちの描く渦巻きの線が目に見えるようだ
仕事がえりの疲れたからだにつめたさが容赦なく突きささるこんな日にさえも、
わたしは春の気配をしっかりと感じているのだ


*
「アイリス」
“これ以上近づけないほどひとつになろう”
おばあちゃんになって、しかもアルツハイマーで
それでもこんなふうに言ってもらえたら


「ホワイト・オランダー」
アリソン・ローマンの透き通るような美しさに、ひきこまれっぱなし


DVDレコーダーが来てからというもの、
以前にも増してうちで映画を観るようになった
まったく、便利な時代になったものだ
(けれども、雪が降るとWOWOWの映りが極端に悪くなるのはいただけない)






2004/02/13  1年後


あの子を含む職場のひと4人で、飲みに行った
去年とおなじ日に、おなじお店のおなじ席で
去年とおなじように、皆にチョコレイトをわたす
ほんの200mほど、あの子とふたりで歩いた帰り道
わたしの目線の高さにあるあの子の二の腕を見つめながら
このひとがいなくても歩いていけるようになろう、と
よっぱらいのたよりない頭で、真剣に考えてみたのだった


*
ロード・オブ・ザ・リング(今ごろ、第1章)
たそがれ清兵衛(大好きな映画の仲間いり)






2004/02/12  回転木馬


1日じゅう、めまいに襲われていた
目を閉じた瞬間に、ふらりと倒れてしまいそうになる
2年まえのわたしなら、自重して休んでいただろうが
働くことはこういうことなのだと
からだに言い聞かせて気丈に振舞った
多かれ少なかれ、身を削って働くことが
社会の一員として機能することなのだ、と






2004/02/10  キャンディ・ガール


最近はまっているのは、ロッテのミルクのどあめ
いつも、2,3個買いだめして、口のなかで転がしている
あめを最後まで舐めていられないのは、子供のころからだった
お祭りで買うりんご飴はりんごに到達するまえに飽きてしまうし
ふつうのあめはかならず、途中で噛み砕いてしまう
わたしのなかで、成長していないところのひとつだ


幸せを見せびらかされるのは正直言ってつらい
他人の幸せを心から喜ぶことができるのは、自信と余裕のある人だけかもしれない、と思う
そんなふうに思ってしまう卑屈で貧しい心を持ったわたし自身と
素直に祝福の言葉をかけてあげることができないその不甲斐なさとをかき消すように
口のなかのあまいキャンディーを音を発てて噛んだ


オーブラザー(2回目)と、海辺の家、ザ・ロイヤル・テネンバウムズを観た






2004/02/09  オレンジ


ヴィツ子の助手席に母を乗せ、新潟市へと向かう
天気がよい今日は、お買い物日和だ
伊勢丹では、ツモリとzuccaをみて
地下でジャン・ポール・エヴァンのチョコレイトを買った
スタバで母はコーヒーとメイプルオートナッツスコーン、
わたしは無脂肪のホワイトモカをそれぞれたのんだ
それから古町へ行って
三越で青森と函館の物産展をくるくるとまわり
アフタヌーンティで食器をみたり、RMKの化粧品をみたりした
ラフォーレでは、ふたりで共用しようと、
パラビオンでうすいピンクとグリーンのガーゼが重ねられたストールを買った
梅の花が咲くころ、わたしは母と水戸へ行く


*
お風呂からあがってまどろんでいると、あの子からの着信
その用件は2週間後に迫った、発表会―わたしがチーフで、あの子は音響の係なのだ―のことだったけれど
すぐにあの子は話題を変えて
今日、職場ですごく嫌なことがあって、はじめてあんなに怒った、と話した
その理由について、あの子は概略しか話さなかったし、わたしも問い詰めなかったけれど
あの子はちょっとやそっとじゃ怒ったりしないひとだから、よほどのことだったのだろう
あの子のことがすごく心配だったけれど、わたしに話してくれたことがうれしくて
「yukoさんも、いつもあんな理不尽な怒られ方して、よく耐えてると思うよ」と言ってくれたとき
電話を切るときに、極上にさりげないタイミングで「ありがとう」と言ってくれたとき
わたしは発作的に、あの子のところへ行きたいと思ってしまった
―そんなことは、あの子にとっては大迷惑だろうから、思うだけで終わりにしよう
  遠くて近いところで、思うだけで






2004/02/07-08  夜勤の日


出勤まえに施設の近くのコンビニで、瀬川くんに会った
昨日が飲み会だったので施設に車を置いてあの子の家に泊まり
今朝あの子に送ってもらい、これから帰るところだとのことだった
すこし立ち話をして別れ、
ボルヴィックと雑誌を1冊買って、施設へ向かった


利用者のほとんどが帰省中なので
いつもよりずっと少ない人数をみていればよかったのに
そんなときに限ってトラブル発生
結局ものすごく忙しく、あっというまの1日だった
今朝、次の夜勤者に引継ぎをしていると、
係長や保険師さんも出てきてくれて
よくがんばったね、と褒めてもらったので
疲れたこと以上に、うれしくなった


代休と祝日がうまくつながったので、
今日から11日までずうっとおやすみ
こういうときだけはおいしいと思う、わたしの仕事
さあ、何をしましょうか






2004/02/06  りんりん


仕事のときは、みんなジャージなので
たまのスーツすがたには、とても新鮮に見える
今日は、施設の「成人を祝う会」があったのだ


新年会には、うしくんとかえるくんを連れていった
おとなしいね、と言われたのは
わざとお酒をひかえめにして、しずかにしていたからだ


23時ころに家に帰ると、すぐにお風呂に入った
2次会で水割りをたっぷりと飲んだので
蒸気といっしょに酔いがぽわんとまわる
そんなときでも、わたしの耳は冴えていて
ひとりぼっち虫の声だけはちゃんと聞こえていた
雪が、しんしんと降りつづいていた






2004/02/05  ひとりぼっち虫


ひとりぼっち虫は、不定期にやってきては
わたしのポケットのなかでちいさな羽音をたてる
追い払おうと思っても、出ていってはくれないけれど
その存在を忘れたころにポケットに触れると、
忽然とすがたを消していたりする


午前の仕事中や
携帯のメールチェックをしたとき
つめたい部屋に足を踏み入れた瞬間
ひとりぼっち虫が、ころころと鳴くのだ


そのちいさく透明な羽を手に入れることができたなら、
一緒に消えてみるのも、悪くない
だれかの心に居座ることを、わたしはそれほど望んでいない






2004/02/03  拝啓、雪だるま様


あんなにどっさりと積もった雪も
1週間のうちにほとんどが解けてなくなった


職場でつくった雪だるまもすがたを消し
赤いバケツだけが忘れもののように転がっていた


あの子は、24歳になった


自分が楽になるために
自己中になろうと思う
思うだけならいいでしょう
わたしの秩序を定めることができるのは、わたしだけだから


*
メールの返事をできずごめんなさい
近いうちに、かならず。





2004/02/01  悩みの種を蒔く


母はだいぶよくなったようで
寝てばかりいるのはかえってつらい、と言って起きていた
それでも申し訳ないと思いながら
お昼まえに家を出た
天気がよかったので、ひさしぶりにzuccaのパンプスを履く


山頭火でお昼を食べてから
ユナイテッドへと向かう
今日観たのは、「シー・ビスケット」
映画の日だったので、とても混雑していた
ミスティック・リバー、ニューオーリンズ・トライアル、
昭和歌謡大全集、半落ち、アイデン&ティティ、ラブ・アクチュアリー
観たい映画がたくさんありすぎて、困ってしまう


映画のあと、半月ぶりにツモリへ行った
刺繍やビーズ、皮のアップリケが施されたラグジュアリーなカットソー
ドレープにシフォンの切り替えのあるコットンとカシミアのカシュクール
すそがすこしだけつぼまったコットンパンツ
ため息が出るほどかわいかったけれど、がまんがまんで見てるだけ
今季のツモリはわたしの好きなやさしい色がふんだんに使われている
ドットシリーズ、Today’s Special、妖精、ミューズなど
ほしい柄がたくさんあって厳選するのがたいへん
ああ、ほんとうに困った


でも観たい映画や、着たいお洋服、きれいな色のコスメで悩んでいるなんて
わたしはとってもおめでたいひとなのかもしれないな