2004/01/31 #2 母の吐き気がおさまったのを確認して、家を出た 大事な約束があったからだ さえちゃんとは、無事に会うことができた もしかしてあの子かな、と思ってみていた子が、やっぱりさえちゃんだったのだ ふたりでレミオロメンのライヴに行った 今日がツアーファイナルだという彼らは あんなにやさしい歌をうたうのに MCがすっごくおもしろかった さえちゃんはすっごくかわいくてスタイルもいい子で でもすっごくさばさばしていて わたしはとても大好きだと思ったし、会えてよかったと思った 今度また、お酒飲んだりカラオケ行ったりしようね 2004/01/31 #1 朝起きたときから家族と口をきかず わたしはとても寡黙を装っていた 居間にも顔を出すこともなく 異変を悟ったのはam11:00ころだっただろうか 母が具合を悪くしたのだ 何件かの病院にすぐ診てもらえるか問い合わせたけれど 土曜日で混み合っているから、すぐには診られないかもしれないという答えが返ってきた 母はめまいと吐き気で立ち上がることもできず やっぱり救急車を呼ぼうかと思っていたところ 最後に電話をした近くの内科が往診に来てくれることになった 先生が帰ったあと、わたしは処方箋と、お薬を受けとりに行った きっとわたしが、あんなことを言ったからだ だから母は体調を崩した そう思って、泣きたくなった 注射を打ってもらって、落ちついてきた母をみて ごめんね、ごめんねお母さん 何度も、心のなかで繰り返した 2004/01/29 リモートコントローラー 1時間だけお休みをもらって、ユナイテッドへ行く ドラッグストア・ガールの試写会には ラクロスのユニフォームに身を包んだ田中麗奈が、舞台挨拶に来た 映画は、くどかんらしい気持ちのよいコメディ映画だった * 子供のころ、褒められた記憶がないこと いつも友だちと比較されて傷ついていたこと それを、母に話してしまった 母は否定したけれど そのあと、 そういえばあなたはすこし、おかしかった 性格の悪い子だった、と言った それは事実であるのだけど 事実であるだけに 絶望的な気持ちになってしまって 自分の部屋に入った瞬間、 わたしは声を殺して泣いた こうやって泣きごとばかり言っているくせに かわいそうだと思われるのがいやで ううん、だいじょうぶ、とか、強がってしまうのは悪い癖 だけどわたしにとっては、つらいことそれ自体よりも 他のだれか、とりわけしあわせを持っている人にかわいそう、とか思われる、 そういうことこそが苦しいのだ やっぱりわたしは、 ひねくれもののへそまがりだ くるくるとせわしなく、気持ちが変化した日 操作しているのはいったい、だれ 2004/01/27 ぬきあし、さしあし 早朝から降り出した雪は止むことを知らず、 午後にはひざを越えるほどに積もっていた そのため、作業を急遽変更し除雪に当たるという指令が出された ガールのブルゾンを首もとまで締め、 ニット帽をかぶり、手袋をはめて 雪に埋もれたみんなの車を救出した カーラジオからは、 県内各地でこの冬いちばんの積雪を記録しています、と 明るい声が流れていた 除雪車が通りすぎるのを待っているときに プチ雪合戦をしたり、 雪だるまを作ろうとして失敗したり(雪がふわふわとやわらかすぎたのだ) そうやって、9割は真剣に、1割はふざけてぱたぱたと動き回ると 足先はしもやけ寸前になっているくせに からだはほんわりと上気していることに気付く 施設の周りはすっかり、美しい水墨画の世界となった 門扉の横にある大きな大きなもみの木が どうしてクリスマスに降ってくれなかったんだ、とふくれていたから わたしがわたしのあたまのなかで、 たくさんの電飾をひっかけて てっぺんには大きな星をつけてあげた いやだいやだと言っていてもちゃんと、 わたしたちは雪の恩恵を受けている 2004/01/26 大人の階段のぼる、 いつもズボンのポケットに入れている、マスターキーがみあたらなくて 入浴介助で大量の洗濯物を出したときに落としたのかも、なんて思って よく探したら、浴室で脱いだスウェットのポケットにちゃあんと入っていた 「お騒がせしました。」と顔を真っ赤にしてお辞儀をすると 洗濯パートさんは笑顔で「あってよかったよ。」と、言ってくれたけれど 25になって2日目にして、なみへいさんばりのへまをしてしまった自分を恥じる あの子にも、「おれずうっと探してたのに。」とからかわれた これが、ぼうっとしていると言われる原因なのだ すてきな大人への道のりは、まだまだ遠いらしい 2004/01/25 25ans たとえば年を越したときと同じように、 誕生日を迎えてもなにも変わらない だけど今年だけは、変化を起こしたかった 他でもない、自分の手で 25歳の誕生日にピアスの穴をふさぐことは、前々から予定していた 大人には、5つのピアス・ホールは多すぎるからだ (ほんとうは左右にひとつずつでじゅうぶんなのだろうけど、やっぱり勿体ないので3つは残しておいた) 鏡のまえに座り、儀式は静粛におこなわれた すぐにはふさがらないけれど、もうふたつの穴にピアスをさすことはない これから新しいことをはじめようと目論んでいる すてきな大人になるために 自分の手で、変えてゆきたいのだ 自己満足のマイナーチェンジにすぎないとしても 2004/01/24 罪と罰 1日じゅう、胃痛に苦しんだバースデーイヴ 風邪ぎみの恋人と、ひさしぶりに会った 「ジョゼと虎と魚たち」は、新潟では今日公開で 午後からのロードショーを観た 想像していたものとはすこし違っていたけれど とてもせつない恋愛映画だった 映画のあと古町へ行き コンタクトレンズを買って、レベッカ・テイラーのブーツを底張りしてもらった 夕ごはんは恋人の家から程近いお店で飲んだ そこは海鮮系のメニューが豊富で ぶりかま、えびしんじょう、まぐろの竜田揚げ、牛すじの煮込みなど とてもおいしかった(しかもすごく安かった) 恋人の家につくと いよいよ胃痛は耐えがたいほどになってきて ふたりべつべつに眠った ラウンドエレメンツはまだ、車に積んだままだ このひとは次にいつ、連絡をしてくるだろう そんなことすらそのうち、考えなくなってしまうのかもしれない しあわせになりたい 2004/01/23 流れゆく あかるい色で満たされた雑誌をぱらぱらとめくりながら、春に思いを馳せてみる 同時に、大きな不安にも襲われる 今日は施設の冬期スポーツ大会があった 体育部が計画する、今年度最後の行事だ 今年の体育部は最高のメンツがそろっていたと思う 休憩時間にひらいた年度反省会だって、 問題点が見つからなくて結局、雑談ばかりして終わったもの 今日はあの子もこどもみたいにはしゃいでいた 競技に使う台車にわたしを乗せてひっぱって走ったり 風船を膨らますことのできないわたしを全力でからかったり (これはほんとうの話で、わたしは肺活量が著しく低いらしい) わたしも、涙が出るくらいたくさん笑った たくさん笑って、そしてひどく感傷的になった ここには普遍的なものなどなにもない すべてが時を経て、変化しうる つらいことも終わるし、楽しいこともやがて終わる ひきとめておきたいものは、たくさんある 春が来るのが、ほんとうはものすごく怖いのだ 2004/01/22 傷跡 職場の給食で、利用者のぶんの甘えびの尻尾をとったときに 人差し指にちいさなとげが刺さったのは火曜日のこと 昨日までは天気もよくて 寒波がくる、という天気予報をみてもいまいち実感が湧かなかったのに たった一晩で、外はものの見事に真っ白になった 絶え間なく降りつづく雪は時に轟音とともに びゅうびゅうと渦をまいて宙を舞い、ワイパーの先の視界を遮る ふくらみはじめた沈丁花は、ちゃんと生きているのかな 人差し指に触れると、ずきんとちいさな痛みが走る 消したくない傷跡だってある 痛みを忘れないことがせめてもの償いになるならば わたしはこのとげをずっと、からだのなかに大事にとどめて生きてゆく 2004/01/20 小春日和 ここ2年ほどで急速に、空想癖に拍車がかかった いつも心ここにあらずで、 からだと心がおなじ場所にある時間のほうが短い そのせいか、休憩中の会話の流れでふと、 わたし、短気だから○○さん(利用者)の行動待ってるのつらいんですよ、と言ったら、 短気なの!? と、皆に驚かれ、逆に驚いてしまった どうやらわたしは職場で、いつもぽーっとしているひとで通っているらしい (実際、わたしはほんとうに気が短いのだけど) あの子にしたら大迷惑以外のなにものでもないとしても、 わたしはすっかりあの子を、ちゃんと立っていられるための支えとしてしまっている あの子にしたら大迷惑以外のなにものでもないだろうから、 そんなことは口が裂けても言えないけれど 2004/01/18 瓶につめるもの そう、数日まえのこと すごくね、ものすごくあたたかいメールをいただいた それはたとえて言うならば ふかふかの毛布のような いれたてのミルクティのような 冬の日のガラス越しにさんさんと注ぎこむひかりのような ほんわりとしたぬくもりでわたしを包んでくれたそのメールを、 何度も何度も読みかえした ありがとう、すぐに、お返事を書きます 2004/01/17 悪い子 ツモリのミルキーウェイのバッグに、 最小限の荷物―お財布、携帯、ポーチ、ハンカチとティッシュ―、そしてほんのすこしの憂鬱をつめて、お昼すぎの電車に乗る 楽しいはずの友達とのお買い物、それから夜の飲み会 楽しいはずのすべての行動に、いちいちいやなことがついてまわる日だった ううん、楽しかった、よ レベッカ・テイラーのロングブーツを破格のお値段で買うことができたし、 えん家というダイニングバーで食べたお料理はすべておいしかった たくさん笑って、だけど、お気に入りのバッグのファスナーを開けることはしなかった 憂鬱が、漏れてこないように 2004/01/16 奇跡は、自分の手で 夜勤を終えて玄関を出ると、ヴィツ子は雪に覆われていた 後部座席からブラシを取り出し、そのお砂糖のようにさらさらの雪をせっせと落とす そうしたらちょっとだけ楽しくなってしまって、 足もとの雪を青空に向かって蹴り上げてみた まぶしい、雪の日だ 「ブルース・オールマイティ」という映画は、 あたりまえだけれどいつもは忘れてしまっていることを気づかせてくれる、 とてもあたたかい作品だと思った ジム・キャリーの映画は好き トゥルーマン・ショーも、マジェスティックも 今、いちばんほしいものといえば、 パペットマペットのうしくんとかえるくんだ だれかUFOキャッチャーのうまいひと、いませんか? |