2004/01-a





2004/01/14  青空の隙間


厚着をしているなんてことはおかまいなしに、
つめたい空気は鋭い矢となって容赦なくからだへとつきささる
凍りついたヴィツ子のフロントガラスにバケツでお湯をかけたが、
5分とたたないうちにふたたびうすい氷の皮膜となった


大学を卒業していきなり福祉という未知の世界へと飛びこみ、
早いものでもう3年が経とうとしている
この仕事は好きでも、きらいでもない
第一、働くこと自体好きではない
生きていくためにはお金がいる
だから働いているだけだ
わたしにとっての仕事は、
好きなものを買い、行きたい場所へ行き、
贅沢ではなくとも人並みの生活をするための手段でしかない


からっぽなのはきっと、そのせいなのかもしれない
だけど、深く考えない、という甘い蜜の味を
わたしは知ってしまったのだ


今日は玉木くんの、誕生日だったりもする






2004/01/13  冬のトンネル


かつて恋人だったひとはわたしに、
新潟は天気の悪い日が多いから、性格も陰気なひとが多い、と話した
それは、あらかたでたらめでもないように思う


天真爛漫で澄みきった空のように明るいひとや
充実した毎日を過ごしてる、と得意気に話すひとや
すべてが順調でしあわせそうなひと
そういうひとたちと接するのがつらい


ふだんのわたしが落ちついていられるのは
そういうひとたちと、意識的に距離をおいているからだ
恍惚としたすがたが入りこまないように、
頑丈な砦をつくっているからだ
自己中心的で、我侭きわまりないことは百も承知だ
だけどやっぱりわたしは、自分が大事なのだ


*
ペイズリー柄のトップスに袖を通してみる
ピンク、黄色、ミントグリーンがパッチワークされたそのお洋服は、
たっぷりとギャザーが寄せられていて、とても春らしくかわいらしい
新潟の明日の最高気温は、1℃とのことだ
トンネルの出口を照らす春のひかりは、まだ見えそうにない





2004/01/12  いくつもの週末


週末のことについて
(ずいぶんと長いけれど、ご容赦ください)

*
01/10


なにごともなく無事に夜勤を終える
次の夜勤者である副主任が、ぎりぎりになっても出勤してこなかったのでひやりとしたけれど
am9:15、退勤した


旅立つ支度は一昨日のうちに整えておいた
シャワーを浴びてメイクをし、
ヘッド・ポーターのピンクボストンを肩にかけて家を出た
新潟はめずらしくよく晴れていて、なんだかすこし損をした気分だった


伊勢丹についたのはpm12:00をまわるころで、
今日からセールをはじめたショップもあるらしく混み合っていた
わたしはいちもくさんにツモリへと向かった
立ち上がりのお洋服たちを見るためだ
予約しておいたペイズリーのカットソーは予想通りにかわいくて
それほど期待していなかったゼウスのノースリーブは予想以上にかわいくて
さんざん悩んだ挙句、どちらも購入することにしてしまった
(そのかわり、買う予定にしていた無地のトップスはあきらめた)
まったく、大散財だ


ため息をつきながらも心はうきうきとしていたのは言うまでもない
小走りで新潟駅へと戻ると、
ミスドでドーナツを買い、キオスクであたたかいお茶を買ってMaxときに乗りこんだ


pm4:00東京駅に着くとすぐに新橋へと行き、書店へと急いだ
ここで翌日、王子様に会える切符を受けとり、
さきちゃんとの待ちあわせ時間まで三越や松屋を見た


pm18:00、さきちゃんの部屋のある駅で1ヶ月ぶりの再会
1ヶ月まえにも行った居酒屋で女子トークをくりひろげる
部屋に戻ってからは、あゆの番組をみて王子様に思いを馳せた


*
01/11


am7:30お互い、とてもタイミングよくいっしょに目を覚ました
1時間ほど、おふとんのなかで昨日のはなしの続きをして
am10:30、マンションを出て有楽町へと向かった


すこしはやめのランチはキムラヤで銀座らしい洋食を
おなかいっぱいだから消費しなきゃね、と、ぷらぷらとウィンドーショッピング
お互いにブーツを買うか迷ってやめ、
アンブリオリスの下地をおそろいで買った


pm2:30さきちゃんとは一旦別行動をすることにし、
切符に書かれた時間にその書店へとふたたび行った
道路は女の子でいっぱいだった
自分の番号が呼ばれるまで寒さに震えながら待った
ようやく列に加わると、となりの女の子が話しかけてくれて、
王子様の話でもりあがっているうちにあっというまに順番はやってきた


書店の2階にある、カーテンで仕切られたスペースへと列は続いていて
そのなかにはいった瞬間、ピンクのシャツを着た王子様がきらきらとした笑顔をふりまいていた
TVや雑誌で見るのと比較にならないくらいすてきだった
1000人ものひとたちがいたのに、
ひとりひとりと言葉をかわし、ていねいに握手をしてくれていた
ばかみたいな話しだけれどわたしは、その笑顔を直視できなくて
そのせいか、まったく現実感がない
夢みたいだった
それはきっと、今までスクリーンや、ブラウン管や、雑誌のなかにだけたくさん見てきたからだろうけれど


書店の並びにあるドトールカフェでさきちゃんとふたたび落ち合い、
わたしは現実に戻ろうと努力をした
だけどどこか、夢見心地にひたっていたいというのもあって、
さきちゃんにはとても悪いことをしたと思う


pm22:30さきちゃんに別れを告げ、
池袋へと向かった


バス乗り場ちかくのampmでお茶と雑誌を買って、
犬ブルゾンに顔をうずめながらバスを待った
ふと携帯を見ると、あの子からの着信があった


その電話で、わたしはようやく現実に戻ることができたのではないかと思う
「ねえ、来月の勤務表っていつ出るんだろう」
“そろそろだと思うけど。先週、係長一生けんめいつくってたから”
「来月、1週間くらい休み取れないかなあ」
“なんでなんで?またどっか行くの?”
「…そのうちどうせばれるから言っちゃうけど、シアトル行きたいんだ」
古着好きなあの子は、知り合いがやっている古着屋の買いつけを手伝いたいのだそうだ
また突拍子もないことを言う、と笑いながらも、
やっぱりうれしいと思わずにはいられなかった
恋人は、ちいさな用事では、ううん、大きな用事でも、電話なんてくれない


現実に戻ってこれたわたしは、バスに乗りこんで
東京にさよならをして、あとはこんこんと眠った
気がついたらもう、新潟だった


新潟はうっすらと雪につつまれていた
王子様が、「風邪をひかないようにしてくださいね」と言ってくれたので、
本気でがんばろうと思うのだ


玉木宏「WHITE」
ぜひ、ご一読を。
でも、実物がかっこよすぎたので写真の部分はまだ、あんまり見てなかったりもします。






2004/01/08  ひみつの小瓶


瓶のはなしをしよう


ひとつの瓶を持っている
ガラスでできている、とうめいな瓶だ


幼いころは、瓶もとてもちいさなものだった
なかに詰めるものはそこらじゅうにあった
学校のつくえのなかや、中庭、かえりみち
それから、ちかくの「小路」やゆうれいアパート、公園
だからわたしの瓶は、すぐにいっぱいになった


大人になるにしたがって瓶も大きなものになって
それゆえに、なかなかまんたんになることはなくなった
むかしその瓶を満たしていたものたちにはもう、
目もくれなくなってしまったのだ
だからときどき、極上に輝くなにかを入れても
いつのまにか昇華して消えてしまう
その繰り返しで、瓶はほとんどいつもからっぽのままだ


それでもいつか、瓶が満たされることを心のどこかで願っているのだ





2004/01/07  フェスタ


暗闇を切り裂くような閃光のすぐあとに
地面を揺らすほどのつよい雷が鳴る


明日は雪が戻ってくる


こうして日記をしたためるとき、
あかるい表現であかるいことを書こうと思うのに
まったく、その通りにはいかない


だけどわたしは案外、ちゃんと笑っていると思う


ただ、楽しいことや嬉しいことが毎日通りすぎてゆくのに対して、
この先きっと消えることのない腫瘍がわたしを占領していること
そしてその漆黒のかたまりが、すこしずつ大きさを増していること
その事実を、じゅうぶんすぎるほどわかっているのだ


はばたきかたをわすれたのかい
はねならそこについてるだろう






2004/01/05  害虫


年末年始は、休みすぎた
昨日から仕事をしているけれど、まったく調子が出ない
体調は、はっきり言って最悪だ


今日は、年始の訓示があった
だけどわたしはそのほとんどを聞いていなかった
記憶に残っているのはあの子と話したことと、
「新年そうそう寝坊したから」と、みじかく切られたあの子の髪に触れたこと
それだけだ


おれねえ、仏教の話を聞いて納得したの
人はみんな生まれたときは仏なんだって
それが年を重ねるうちに汚れちゃうんだって
ねえ、yukoさん


あの子はそう言って、笑いをこらえながら
わたしのほうを見る


あーあーどうせ汚れものだようるさいなあ


わたしはふくれっつらをして、あの子の期待通りの悪態をついてみせる




胃痛と腹痛で具合が悪いくせに
無性にいらいらしていて―それは女の子の日であることが主な原因だが―お菓子を貪り食べた
いつの日も何かしらに囚われていて
それらによってすこしずつ、わたしのからだは蝕まれる
解き放たれることなんて
生きている限り、ありえないことなのかもしれない





2004/01/03  風船


恋人と、新春の街へ出かけた。
初売りと冬のセールのせいで、とても賑やかで、活気づいていて、息苦しかった


最後通告をした日、恋人はわたしに言った
別れたくはない、と
おれにはおまえしかいないし、
おまえにもおれしかいないと思っている、と
だけどわたしにはそのつよい言葉が、
今にも割れてしまいそうにぱんぱんに膨らんだゴム風船のようにしか思えなかった
曇った空へ消え、いつかひとりぼっちでしぼんでしまうような
あるいはたくさんのものをつめこんで破裂してしまうような


空気ではなく、目に見える確かなものでわたしを満たしてほしい


それは、贅沢でしかないのかな
それとも、確かなものなんて最初から、存在しないのかな







2003/01/02  放射線


午後1時、いつもの店でみえと待ちあわせ
すこし遅れて、寛子がくる
ひさしぶりの再会を果たしたわたしたちは、おしゃべりをしながらおいしい昼食をともにしたあと、臨月をむかえたみっこの家におしかけた
みっこに会うのは昨年5月の結婚式以来で、妊娠がわかってからはもちろんはじめてで
大きいおなかはつくりものなんじゃないかと(失礼だけれど)疑ってしまうほどだった
だけど、いろんな話を聞いたり、写真を見せてもらったりするうちに
ああこの子はもう、人の親なんだなと妙に納得した


みっこはからだじゅうからしあわせがにじみ出ていて
心から、うらやましく思った
わたしが持っていないものをすべて、手にしているような気がした
みえも、来年には結婚するそうだ




みんなに会うと、わたしはいつもひとりだけ、取り残されているような気になってしまう
どこかずっと遠い過去に、おいてけぼりにされているような
そういう感情を、わたしのちがう部分が必死でかきけしている


わたしはちゃんと、前に進んでいますか






2003/01/01  晴れた日に


あけましておめでとう


366日を1日も無駄にせぬよう、毎日をだいじに生きてゆきたい
すてきな女の子になるために、
たくさんの人に出会えるように、
しあわせになるために


そして今年の終わりに、よい1年だったと自信を持って言えるように





2004年がみなさんにとって、すばらしい1年となりますように


今年もどうか、よろしくお願いします